メンテ&カスタム

【失敗】メッキ調スプレー「メッキ感覚」は自転車には使えません

メッキ調ペイント

この記事では、「メッキっぽく塗装できる」として販売されている、メッキ調スプレーがはたして自転車のパーツの塗装に、使えるのかどうかの実験結果を紹介します。

自転車をいじっていると「ココをメッキっぽくしたらカッコ良さそう」と思うけど、どうしたらいいかわからないし、失敗してわやくちゃになっちゃたりしたら大変ですよね。

そんな悩みを解決するために、今回がっつりと実験してました。本番で失敗したらイヤですもんね。

今回の記事を読むだけで、いらない苦労をしないですみますし、いろいろなコツがわかって、これからの自転車の整備やカスタマイズに役に立ちますよ。

【結論】染めQ「メッキ感覚」は自転車には使えない

パーツクリーナー塗布

とある部品をメッキ調に塗装したいと思いまして、いきなり本番ではリスキーですので、失敗しても大丈夫なモノで事前テストを実施しました。

その結果、染めQのメッキ調スプレー「メッキ感覚」は、自転車のパーツの塗装には向いていないという結論に達しました。

その理由は、

  • 金属粉がお洋服に付くおそれがある。
  • コンパウンドで磨くとメッキ調からタダのグレーになる。
  • パーツクリーナーを吹くと塗料が溶けて流れちゃう。

ということです。それでは、これから詳しく深堀りしていきます。

チェーンリングカバーをメタリックなシルバーに

中古で入手しましたクロスバイク「ルイガノTR2」のリフレッシュを引き続き実行している最中なんです。

今回のミッションは、ルイガノTR2のチェーンリングの色を変えること。

クランクまわり

チェーンリングにお洋服が触れて汚れちゃうのを防止するために、チェーンリングカバーが付けられていますね。

まずまずキレイな状態ではあるんですが、かわいいベージュのフレームに対して、ブラックというのはちょっとミスマッチな気がしますし、なんか重々しいですよね。

そこでいろいろ思案した結果、ブラックからシルバーに塗り替えることにしました。ただシルバーといっても、「これってグレーやんか」というのは遠慮しておきたいのです。

そしてこんなナイスな塗料を発見してしまいました。

メッキ感覚

 

メッキ調のスプレー塗料は何種類もあるようなんですが、Amazonでの評価レビューを見るかぎり、いまいちな商品が多いようです。「どこがメッキやねん!」みたいな。

そんななかでも比較的評価が良かったのが、染めQから出てるこの「メッキ感覚」。まあ商品に付いてるプラキャップみたいになるとは期待してはいません。それほんとうのメッキでしょ。

染めQというメーカーに対して、なぜかボクは根拠のない好印象を持っていたというのも、これをチョイスした理由の一つです。印象操作されています(笑)

ただネガティブ(否定的)情報も入ってきてまして、それはこんなそんなです。

  • あくまでメッキ調であってメッキじゃない(それはそうでしょう)
  • 乾燥した後も金属粉が表面に浮き出てきてお洋服についちゃう。
  • 塗装するとき匂いがくさい(これは仕方ないです)

とかですね。
これはさすがに、いきなり本番でチェーンリングを塗装するのは心配です。
失敗はイヤだなあ。

そこでチェーンリングに塗装をする前に、別のモノでテストすることにしました。
塗料だけではなく、いろんな段取りの経験値が上がるので、我ながらナイスアイデア。

空っぽの日焼け止めスプレーの缶でテスト

要らないスプレー缶

なにでテストしようかなぁと身の回りを物色しましたところ、良いモノが見つかりました。
それがこの日焼け止めスプレーの空きスプレー缶です。

これを選んだのにはこんな理由があります。

  • 金属でできてる。
  • 表面が塗装されてる。
  • 小さいので使う塗料の量が少なくて経済的。
  • 失敗しても後悔しない。

かなり理想的なサンプルを見つけることができてよかったです。

スポンジ研磨シートで足付け

まず最初に、塗装するものの表面に「足付け」をします。足付けとは、

足付けとは、塗料の密着をよくするために表面をすこしざらついた状態にすることです。
塗料が食いつく面積が広くなり、結果として密着性が上がるんですね。
研磨パッドにサンドペーパーを装着して、効率的に磨いていきます。

フェンダー丸ごと塗ります【塗装編】|ソフト99広報ブログ「99ブロ」より引用。

今回はあとで紹介する「ミッチャクロン」を使うと、足付けは不要らしいのですが、できるだけ成功の確率を上げたいですし、何より経験が得られるので、足付けをすることにしました。

スポンジ研磨シート

今回は、ホームセンターで買ってきた「スポンジ研磨シート1000番」を使います。サンドペーパーでもいいんですが、目詰まりしても水で洗えば復活する、スポンジタイプが使い勝手が良いので好きです。ハサミで切れるのもGood。

ただ買ってきた1000番は結果から言うと、目が細かすぎて表面をあんまり粗くすることができませんでした。上のソフト99ブログによると、600番がおすすめみたいです。本番では600番を使わなくちゃ。

足付け

使いやすいサイズにハサミで切った研磨スポンジで足付けしています。今回はテストなので、前側半分ほどを足付けしますね。

ミッチャクロンは「究極のプライマー」らしい

ミッチャクロン


塗装する前に下地を処理するってとっても重要なんだそう。なんとなくは感じてはいましたが、今回調べてみて色々勉強になりました。

わかったのは、

  • 下地にそのまま塗装すると塗料との密着がとっても弱い。
  • 密着が弱いと塗装がはがれたり欠けたりしやすい。
  • 下地と塗料との密着性を高める必要がある。
  • 密着性を高めるのが「プライマー」
  • プライマーは下地と塗料の接着剤の役割をする。

ということです。

そしてそのプライマーの中で「めっちゃ良い!」という情報がたくさん入ってきたのが、この「ミッチャクロン」なのです。

それにミッチャクロンを使うと、先ほど紹介した「足付け」というのが不要らしいです。製品の説明書きにそんなことが書いてあります。

でも疑い深い(笑)ボクは、足付け不要という話をうのみにすることなく、スポンジ研磨シートでしっかり足付けしたのです。
ただ番手が1000番なのでちゃんと足付けできたかちょっとだけ少々心配。。。

マスキングします

マスキング

今回はあくまでテストということで、スプレー缶の前半分の真ん中だけを塗装します。そのためにマスキングが必要です。

家族に「マスキングテープ貸して」と頼んだら、くら寿司とワンピースがコラボしてるマスキングテープを貸してくれました(笑)

これで準備完了です。

ミッチャクロンで下地処理

プライマー

ミッチャクロンで下地処理をします。今回注意したのはこんなことです。

  • もちろん屋外で。
  • 風があたるとスプレーが流れるので特設ブース(ダンボール)を設置。
  • 1分間カラコロ振ってから吹く。
  • 薄く2回吹付けました。

やってみて「これはカンタン」だと思いました。誰にでもできそうです。

乾燥に要する時間は、温度20度・湿度60%で15分~20分でOKとのことです。これだと次の行程のペイントがすぐできるので助かりますね。

ついに「メッキ感覚」でペイント

メッキ調スプレー

ミッチャクロンを吹いてから30分たったので、いよいよ「メッキ感覚」をペイントします。緊張せずにはおれませぬ。

ここでの注意点はこれ。

  • もちろん屋内で。
  • ミッチャクロン以上に風の影響を避けたいので、壁ぎわに塗装ブースを設置。
  • 1分以上カラコロ振って準備OK。
  • 20~25センチの距離で吹く。
  • タレないように薄く塗る。
  • 3分開けて二回目を吹く。

乾燥時間は、指でさわっていいのは1時間後、完全に乾燥するのは24時間後です。

一時間経過

これが一時間後のすがた。思った以上に金属っぽいビジュアルです。これはちょっと期待しても良いんじゃない?

明日がめっちゃ楽しみです。

乾燥後のファーストインプレ

メッキ調ペイント

塗装してから30時間後の姿です。「メッキ感覚」の取り扱い説明によると、完全乾燥に要する時間は気温20度で24時間とあるので十分に乾燥していることでしょう。

その結果はというと、

  • メッキ調とはちょっと言い過ぎですね(笑)
  • ただアルミの地金をポリッシュしたくらいの光沢はあります。
  • アルミ箔の表面(つるつるの面)に近い感じでしょうか。
  • チェーンリングに塗装することを想定するとまあまあ合格点。
  • 指で触れると、うっすらと金属粉が付きます。ちょっとだけ。

という感じで、めっちゃ良い!とは正直言えませんけど、まあ合格と言っていいでしょう。

しかし!ここからさらに過酷な(そうでもないけど)テストが待っているのです。

コンパウンドで磨いたらただのグレーに

コンパウンド加工

塗装の光沢をさらに増すために、コンパウンドで磨きたくなるというのが人情というもの。なのでさっそく実行してみました。

塗装面の下側3分の2を養生テープでカバーして、上側3分の1だけコンパウンドで磨きます。下側の網目のような模様は養生テープの糊(のり)ですね。

結果はアウトでした(笑)

アルミ箔のような光沢が、コンパウンドで磨いたことで、ただのグレーになってしまいましたよ。おお、予想を超える失態なり。

「コンパウンドで磨いちゃダメよ」という意見もおありでしょうが、ボクのマイルールでは、マット調(つや消し)でない限り、塗装はコンパウンドで磨くべしとなってます。

なのでこの時点で失格ですねぇ。残念です。

パーツクリーナーを吹いたら塗料が流れ落ちてしまう

パーツクリーナー塗布

あまりの結果のせいで、逆にハイになってしまったボクは、さらに過酷なテストを課すことにしました。

それは塗装面にパーツクリーナーを噴射すること。

そもそもは、チェーンリングカバーに「メッキ感覚」をペイントするに、先立ってのテストなんですよ。

チェーンリングカバーなんて、チェーンのすぐ近くだし、ぜったいパーツクリーナーがかかっちゃうものでしょう。なのでとても真っ当なテストなんですね。

結果はアウトでした(笑)

パーツクリーナーを噴射したところから、じゃんじゃん塗料が流れていきますよ。完全乾燥24時間をしっかりクリアしているので、生乾きということはないはず。

おお、これまた予想を超える失態なり。

メッキ調スプレー「メッキ感覚」は自転車には使えない

今回のテスト結果から、「メッキ感覚」は自転車のパーツの塗装には向いていないという結論に達しました。

  • 金属粉がお洋服に付くおそれがある。
  • コンパウンドで磨くことができない。
  • パーツクリーナーを吹くことができない。

以上がその理由です。自転車に毎日のように乗って、そして自転車を整備することが好きなボクにとっては、どうにもクリアできない問題だらけです。

せっかく、まあまあな金属感だったのに、すこし残念ではありますが仕方ないです。

と同時に、いきなりチェーンリングに塗装せずに、事前にテストしてほんとうに良かったです。本番で失敗したらダメージがでっかいですからね。

今回はよい勉強をさせてもらいました。これを糧にして、また別の方法を考えることにしましょう。