この記事では、自転車のパーツを自分で塗装するために、失敗しないで上手に仕上げる方法をご紹介します。
自転車のパーツを塗装するなんて、なんだか難しそうだし、失敗して台無しになったらイヤだなあって思っちゃいますよね。
その心配を取り除くために大事なのは、まずはセオリー通りにやってみることです。
塗装のセオリーを知ってるだけで、思ったよりずっとカンタンに上手に、塗装をすることができるようになりますよ。
チェーンリングカバーを塗装するわけ
中古で我が家にやってきた、ゆるめのクロスバイク「ルイガノTR2」のリフレッシュ計画がちょっとずつ進んでいます。
さて、リフレッシュをしていく中で、ちょっと気になっていたのが、チェーンリングです。
チェーンリングを塗り替えることを決意
状態はとっても良いんですが、チェーンとギアの汚れからお洋服を守る、チェーンリングカバーの色がブラックなのが、なにやら重々しくて、あまりカワイくないんです。
そこで、このチェーンリングカバーの色を、ブラックからシルバーに変更することに決めました。でも何を隠そうボクはあまり塗装というものを経験したことがないのです。なんか不安だなあ。
どうせチャレンジするなら、上手に仕上げたいし、正直失敗するのはイヤなので、ネットであれこれ調べてみました。ほんと便利な時代ですね。まあ情報の良し悪しを選別しなくちゃいけませんが。
必要に迫られて塗装の経験がつきました
塗装の方法をいろいろ調べて勉強しまして、知識は蓄積してきましたが、なかなか実地でやる気がなりません。よろしくない完璧主義かもです。
そんな中、我が家の予備役クロスバイク風ママチャリ、ブリヂストン・マークローザくんを同時並行でリフレッシュしないといけない状況に置かれてしまったのです。
ルイガノTR2より相当状態が悪くて、先が思いやられましたが、そのぶん失敗を恐れず大胆にあれこれできるということ。
そして何箇所か塗装もしないといけなかったんです。
これがビフォーで、
これがアフターです。チェーンリングの塗装をしました。詳しくは下の記事でどうぞ。
まだこの段階では、塗装に関して勉強することが残っていたんですけど、
- 不完全な知識だけど、まずはチャンレンジしてみた。
- 思いのほかナイスに仕上がって感動。
- 実際に手を動かして経験したことでコツがつかめた。
- まずは仕上がったということで大きな自信がついた。
- このあと不足していた知識をインプットしたことでさらに自信がアップ。
という、ボク的にたいへん大きな経験をさせてもらったわけです。「ボク塗装できるやん!」みたいな。
まあ、プロの方から見れば、ダメダメだとは思うんですけど(汗)自分の自転車なんで、自分が納得できればそれでOK!それに楽しいしね。
では、これからルイガノTR2のチェーンリング塗装の本番ですよ。
塗装をするための流れを整理します
【足付け】(塗装面を粗くすること)
- パーツを分解
- サンドペーパーで研磨
- パーツクリーナーでお掃除
【下地作り】
- シリコンオフで油分除去
- プラサフを吹いて下地を作る
- サンドペーパーで水研ぎ
【塗装本番】
- シルバーのラッカーで塗装
- クリアラッカーでコーティング
【△仕上げ磨き】(今回はしません)
コンパウンドで塗装面を艶出し
足付け
最初に「足付け」をします。「足付け」については下記を参考にしてくださいね。
足付けとは、塗料の付着力を向上させる為、被塗物の表面に凹凸を付け、塗装の表面積を広げる目的で研磨する事です。 足付け作業には、サンドペーパー、粗目のコンパウンド等を使います。 「目粗し」とも言います。
パーツを分解します
クランクセットをこのように分解して、今回塗装するチェーンリングカバーを取り出します。今回は他の用事もありましたので、自転車本体からクランクセットを取り外してますが、カバーだけならクランクは車体についたままでも大丈夫です。
サンドペーパーで研磨します
塗装面を粗くするためにサンドペーパーを用意します。今回の流れで必要なのは、600番と1000番だけなんです。それぞれホームセンター(HC)で数十円で買えるはず。
でもそのためにHCに行くのもたいへんですし、年に何回かしか必要なさそうなので、このセットを買いました。300円前後だと思います。
耐水サンドペーパーの構成とサイズはこんな感じ。小さいですが今回の作業では十分間に合います。
600番の耐水サンドペーパーを、使い安いサイズにハサミで切ってくださいね。そしてチェーンリングカバーの表面を磨いて粗くします。
パーツクリーナーで表面を洗浄
耐水サンドペーパーで研磨した際に出てるであろう、ホコリやゴミなど余計なものを、パーツクリーナーを吹きかけて洗い流します。
足付けの仕事はいったんこれで完了です。
プラサフで下地塗装
これまでの作業で、チェーンリングカバーへの足付けが終わりました。ではさっそくシルバーのスプレーを吹きたいところですが、仕上がりをより良くするために、「プラサフ」というものを使って、もうひと手間かけることにします。
その前に「プラサフ」についてボクなりの言葉と理解で解説しますね。ブラサフを使わないとこんなことになります。
- 素地に直接塗装すると、塗料は完全に密着しません。
- その結果ちょっとしたことで、塗装が剥がれちゃう。
- また素地のキズやデコボコは塗装しても消えずに残りがち。
でもプラサフと使うとこんなふうに。
- 素地と塗料の密着性をアップさせます。
- その結果塗装がめっちゃ強くなります。
- 素地のキズやデコボコを、ある程度埋めて消してくれます。
- 素地と塗装と間に空気を通さないのでサビ予防の効果があります。
というように、本気で塗装するなら、ゼッタイやったほうが良いですよね。プラサフしなくても、素人目にはそれなりにイイ感じに見えるんですけど、長い目で見るときっと違うはず。だから勉強だと思って今回はプラサフやります!
シリコンオフで油分除去
プラサフを吹く前に、ひとつやることがあるんです。それがシリコンオフで油分を取り除くこと。油分が残ってると、プラサフがちゃんと密着してくれないそうです。
先日まで、油分を取り除くならパーツクリーナーで十分だと思ってたんですが、勉強すると違うらしいことがわかりました。
- パーツクリーナーは、汚れを洗い流す。
- シリコンオフは、油分を取り除く。
これがセオリーらしいです。今回は今後の勉強と経験のためという目的があるので、しっかりセオリーに従いますよ。
シリコンオフを初めて使いましたが、当たり前だけどパーツクリーナーと全然違います。有機溶剤のニオイがしますね。なんだか効きそう。
シリコンオフを吹きかけたあと、乾かないうちに拭き取る必要があるんですが、ウエスとかだと繊維が残りそう。なので素人考えですがキッチンタオルで拭き取ることにしました。ほんとは「キムワイプ」とかが良いんだろうなあ。
プラサフを吹いて下地を作る
これがプラサフ。ちゃんと塗装するなら、プラサフって大事だよーっていうのは、なんとなく知ってましたが、自分が使いことになるとは思いもしませんでした。いくつになっても勉強、そしてチャレンジですね。
プラサフを吹くにあたっては、こんなことに気をつけました。
- 吹く前に缶を1分間カラコロ振る。
- 遠すぎず、近すぎずに注意します。
- 風で流されないように、風よけをしっかりと。
- 薄く吹くことを、10分ごとに三回繰り返し。
- 最終的に乾くまで1時間さわってはダメ。
なんとかうまくいったようです。
サンドペーパーで水研ぎ
下地つくりの最終工程、「水研ぎ」です。1000番の耐水サンドペーパーで、水を付けて洗い流しつつ表面をならします。
と言っても、表面はかなりスベスベなので、水研ぎは省略してもいいかな?と、ちょっとだけ思ったんですが、今回ばかりは勉強なのでセオリー通りに。
きちんと水研ぎすると、塗装の乗りと発色が違うという情報もありますからね。
下地作りはこれで完了です。本番の塗装に備えて、しっかり乾燥させて待つとしましょう。
いよいよ塗装本番
今回使用する本番塗料です。少し前に別の目的で買ったものなんですが、使ってみて良い感じだったんですね。印象はというと、
- 銀色の発色がとってもイイ。
- 以前塗装したときの乾燥後の塗装が強いです。
- クリアも使いやすくてタレたりしません。
- ソフト99ボディペンじゃなくてもコレで大丈夫そう。
シルバーのラッカーで塗装
塗装本番なんですが、ここまでくるともう慣れちゃって、あまり緊張しなくなってきました(笑)でも気を抜くと失敗するので、ここは集中力を維持して続けましょう。
塗装の作法ですが、プラサフとほぼ?全く?同じですね。念のため書きますと、
- 吹く前に缶を1分間カラコロ振る。
- 遠すぎず、近すぎずに注意します。
- 風で流されないように、風よけをしっかりと。
- 薄く吹くことを、10分ごとに三回繰り返し。
- 最終的に乾くまで1時間さわってはダメ。
どうしても欲張ってしまって濃く吹きがちなんですが、そうするときっと垂れるに違いないので、厳重注意ですね。ここまでうまくやってこれたんだから。
どうか、ホコリとか虫とか付きませんように。
クリアラッカーでコーティングします
クリアでコーティングする最終段階までやってきました。うれしい。
クリア塗装なんですが、白状すると、ここ数日であれこれ塗装をするようになるまでは、一度もやったことありませんでした。だってなんだか面倒くさいじゃないですか。やったほうがキレイで強いとは思いますけどね。
でもここ数日でクリアを使うようになって、こんなことに気付いたんです。
- カラーとクリアの塗料そのものの乾燥後の強度が違う(知らんけど)
- クリアを吹くと色に深みが出る。
- クリアを吹くとメタリック感が少し減る(これは仕方ないね)
- クリアは乾燥すると表面がカチコチでとても頑丈。
- これは使わない選択肢はないです。
なので今回もクリアの使用は必須です。
ということで、今回のチェーンリングカバー塗装プロジェクトは、無事コンプリートいたしました。
ビフォー・アフター
思えば長い道のりでしたが、やっとここまでこれました。ではお楽しみの結果発表のお時間です。
このビフォーが、
アフターです。意外に派手さがありません。ちょっと残念?(笑)
とは言うものの、ボク的に大満足の仕上がりです。しっかりシルバーになってくれてます。
今回にチェーンリングカバーについては、あえて鏡面コンパウンド対応はしませんでした。それは、抜いてある穴のエッジ部分が、研磨によって塗装が薄くなるのがイヤだなあと思ったから。
そしてこの完成形を確認して感じたことは、
- やはりクリアを吹くとメタル感が弱くなる。
- その反面、表面がカチカチ&つるつるで、めっちゃ強度がありそう。
- ちょっとぶつけたくらいでは塗装は欠けなさそう(しませんが)
- やっぱり塗装ってスゴイなあ。
ということで塗装プロジェクトは完了です。今回はほんとうに勉強になりました。そして経験値をめっちゃ得ました。これから楽しみです。
まとめ
というわけで今回は、自転車のパーツを自分で塗装するための、失敗しない方法をご紹介しました。
最後にまとめます。
塗装するための流れを整理
⇒サンドペーパーで足付け。
⇒プラサフで下地作り。
⇒ラッカーで塗装。
足付け
⇒サンドペーパーで研磨。
⇒パーツクリーナーで洗浄。
⇒悪い点をあらかじめ納得してもらうための写真。
プラサフで下地作り
⇒シリコンオフで油分除去。
⇒プラサフを吹いて下地を作る。
⇒サンドペーパーで水研ぎ。
塗装本番
⇒ラッカーで塗装。
⇒クリアラッカーでコーティング。
ようするに、
自転車のパーツを塗装するなんて難しそうだけど、ちゃんとセオリーに従ってやれば、普通にカンタンに失敗せずに塗装できるよ。
ということです。
あなたの自転車のちょっと気になるところをペイントしてあげると、見た目がぐっと良くなって、今まで以上に愛着が湧きますよ。