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エスケープR3をテスト走行して気になるポイントをチェック【GIANT ESCAPE R3 2021 】

テストラン

この記事では、エスケープR3をさまざまなシチュエーションでテスト走行して、気になるポイントの彫りおこしをレポートします。

スポーツ自転車に初めて乗ると、まず乗りこなすだけで精一杯ですよね。そんな中で、気になるところをピックアップするって、なかなか難しいとおもいます。

なので、今回はエスケープR3の気になる点の掘り起こしをしてみました。そして改善点もたくさん見えてきましたよ。

このレポートを見るだけで、エスケープR3をさらにグレーアップさせる、ヒントを得ることができますよ。

結論:ポテンシャルは高いが課題も多い

坂道、悪路、ゼロヨンコース?などなどを走ってみて、エスケープR3の個性がいろいろと見えてきました。

その中で分かったことは、エスケープR3は素性というか、ポテンシャルは素晴らしいものがあるものの、素の状態ではいろいろと気になる点もあるということでした。

気になると言っても、ポテンシャルが高いだけでスゴイことなので、あとは乗る人にあわせて、改善や改修をしていくだけです。

そんなにお金をかけなくても、十分改善していけますし、手を入れれば入れるだけ、良くなる一方なので、楽しみが増えてイイことずくめですね。

テストラン

いろんなシチュエーションでテスト走行

新しい自転車が我が家にやってくると、その自転車のポテンシャルをチェックするために、まず最初に走ることにしている、ベンチマーク用のテストコースがあるんです。

ちなみに、テストコースと言っても、ボクが勝手に言ってるだけです(笑)
そうは言っても、なかなかに面白いコースなんですよ。一時間ちょいで20kmほど走るだけで、その自転車がどんな性格なのか、だいたい分かってしまいます。

ループ橋で必要なギアをチェック

坂を登る能力や、変速機をどの程度使えるかをチェックするために、少々きつめの坂を登ります。遠い山まで行かなくても、我が家から20分ほどで行けるので、たいへん助かっているんですよ。

ということで、ぐーるぐーる螺旋を描きながら、川を渡るループ橋(メガネ橋ともいう)を、連続して二つ渡ります。

ループ橋

まず一つ目のループ橋。最上部の高さは約40m。勾配は約7%とちょっときつめ。スポーツ自転車に乗り始めたころは、登るのがほんとにシンドかったです。

 

ループ橋

ループ橋二つ目。最上部の高さは約50m。勾配は約6%とちょっとゆるやか。こちらは頂上までの距離が長いです。ループ部分だけで452.4mで、橋の総延長は1228.3mだそうな。

ガタガタ道で悪路走破性をチェック

次はグラベル(未舗装路)の走行性能チェックです。といっても、都会にはなかなグラベルなんで無いので、コンクリートの荒れ荒れの道を走ります。

写真ではそんなに荒れているようには見えませんが、セメントの継ぎ目が連続してまして、ガタガタです。今日は大丈夫ですが、雨の翌日は路面が水没してたりします。なかなか貴重な道でしょう(笑)

悪路 悪路

タイヤが高圧で細いロードバイクなんかだと、苦痛しか感じない路面だと思いますよ。

直線路で必要なギアとスピード感をチェック

ちょい大きめの川の土手の道です。1kmちょいありまして、クルマは入ってこれなくて、信号もありません。ここで、加速性能や高速走行性能をチェックします。ゼロヨンコースみたいなものですね。

エスケープR3はそんなに疾走するタイプの自転車ではないので、高速性能のチェックというよりも、変速をどこまで使えるかをチェックすることが主な目的です。

直線コース

客観的に気になるところ

というわけで、いろんなコンディションの道を20kmほど走りまして、エスケープR3がどんな自転車なのか、だいたいのことは分かりました。

そして良いところも、気になるところも浮き彫りになってきました。

早くエスケープR3で遠出したいんですけど、しっくりこない状態で遠出しても、これまでの経験上、楽しくないことが分かっているので、先にこうやってダメ出して、改善できることは、さっさと改善して、乗って楽しい自転車にしてあげたいんですよね。

ではさっそく、気になったところを見て行きましょうか。

客観的に気になる点を紹介します。客観的とは、ボクの好みや感覚とかではなくて、どなたが乗っても、同じように気になるだろうなあ、という点にフォーカスしています。

ブレーキが効かない

Vブレーキの効き

はっきり言って、ブレーキが効きません。最初は「当たり」がついてないだけだろう、と思っていたんですが、走行50kmを超えていますので、これはもう当たりの問題ではないです。

ロードバイクのブレーキで、効かないことで有名な「ティアグラ」のキャリパーブレーキを思い出しました。

レバーを「ぎゅっ」と握ると、リムをブレーキシューが締め付けている感触は、しっかり感じるんです。でもそれの感触が車体の減速に比例していかない。はっきり言って、これはダメ。

原因はだいたい想像できます。「テクトロだからダメ」ということではないんです。いやダメか?

対策の方法として、まず試してみたいのは、ブレーキシューをちょっと良いものに交換することです。シューだけの交換だと安価ですみますからね。

命を預けるブレーキ系なので、これは早急な対策が必要です。と言っても、ホームセンターで売ってる、ノーブランドのママチャリに比べれば、もちろんちゃんと効くほうなんですけどね。

※後日ブレーキシューを社外品に交換しました。

エスケープR3の効きの悪いVブレーキのシューを交換

走りが重い

30Cのタイヤ

予想では、軽く漕ぎ出して、さっそうと加速するものと思っていたんですが、なかなかに期待を裏切ってくれます。

走り出せば、ちゃんとスピードを出してはくれるんですが、漕ぎ出しも、加速も、重々しいです。なんか重い抵抗を感じます。

車体重量は11kgを切りますので、車重の問題ではないです。考えられるのは一つ、30Cの太いタイヤです。ただ太いタイヤが、必ずしも遅いわけではないんですけどね。

ただエスケープR3は、通勤通学も視野に入れた自転車ですし、今回のグラベル(未舗装路)テストでは、路面の段差も気にせず、がんがん走れましたので、30Cは良い選択だと思うんですよ。ただ、もうちょっと軽快にならないものかなあ。

細いタイヤに替えると改善されるはずです。そしてそれと引き換えに、耐パンク性と、乗り心地が犠牲になります。そして最低でも週一回は、空気の補充をしなくてはいけません。通勤通学にそれはどうなんでしょう。

フロントトリプルは不要

実は思うところがありまして、今回はフロント三段変速(トリプル)のうち、ミドルギアだけで走ることにしました。

フロントのギア構成は、28T/38t/48Tで、T数(歯数)が小さいほど低速(坂道)用で、大きいほど高速用になります。このうち、今回は38Tだけで走るということです。

テストコースのループ橋では、前は38T固定で、後ろは最も軽い32Tを残して一つ上のギアで無理なく登ることができました。これで前28Tはいらないと確信しました。

ゼロヨンコースでは、前は38T固定で、後ろは最も重い11Tで、35km/hまで引っぱっても、「もっと重いギアが欲しい!」とはなりませんでした。

もっと重いギアが欲しいシーンがあるとすれば、坂道の下りで、ある程度スピード出てる中で、さらに加速したい時くらいでしょう。エスケープR3でそんなことする必要ある?

これで、前48Tはどうしても必要なモノではないことが分かりました。前28Tはいらないし、前48Tもいらない。なので前ギアは、38Tだけでいいんじゃないというのが結論です。

ミドルギア

三段ある中で、中間の38Tに固定して走りました。

フロントミドルギア

デュアルコントロールレバーの左側=フロント変速用は、三段のうち真ん中の二段から動かしません。

もうこれで十分。

個人的に気になるところ

ココまでは、誰もが感じるであろう(と思う)点を取り上げてみました。

そしてココからは、感じ方には個人差があるだろう、あるいは趣味的にどうだろう的なことについて、取り上げて行きます。

ようするに、「これは無理っ!」という人もいれば、「ぜんぜん大丈夫なんだけど?」というように、人によって意見が分かれるだろうポイントについて書きますね。

サドルが合わない

サドル

サドルって感じ方が人によってぜんぜん違う代表選手なんです。姿勢や、筋肉の付き方や、体重なんかで、全然評価が変わってくるんですよね。

エスケープR3に純正で付いてくる、このコンフォート(快適系)サドルですが、正直言いまして、ボクはダメでした。

十分なクッション性がありますし、ペダリングの邪魔にならないスリムな形をしてまして、ナイスなサドルのはずなんですが、ボクには合いませんでした。

十分以上にやわらかいのに、20kmhぼど走っただけで、お尻が痛くなるんですよ。不思議ですね。硬くても痛くならないサドルもあるのに。

繰り返し書きますが、「このサドルでぜんぜんOK!というか好き!」という方もたくさんおられるはずです。でもボクは愛用のサドルに交換しますね。

※後日サドルを社外品に交換しました。

エスケープR3の純正サドルが痛いのでSMPエクストラに交換

エスケープR3のサドルをSMPエクストラからTRKに交換

エルゴグリップが物足りない

エルゴグリップ

握りやすさと疲れにくさを追求した、エルゴ(人間工学)タイプのグリップが採用されてます。最初は「これは使いやすい!」と思ってたんですが、しばらく走っていくと、物足りなさを感じてきました。

エルゴタイプと言っても、控えめで細身なんです。なので走っていると、手のひらを置くヒレの部分がもうちょっと広いほうがイイなと思いました。

真夏に素手で握っているせいもあるんですが、汗ですべります。ヒレが広いとそのあたりが緩和されます。

ということで、ボクがエスケープR3に乗るにあたっては、ヒレの大きなエルゴグリップへの交換を検討します。

デュアルコントロールレバーに違和感

デュアルコントロールレバー

これは完全に個人的な感覚なんですが、正直言いまして、少々使いにくいです。

ブレーキとシフトのレバーを一体化させているのが、このデュアルコントロールレバーなんですが、ボクは通常、ブレーキとシフトがセパレートしている別体式のタイプのレバーを使ってるんです。

別体式だと、シフトレバーはブレーキレバーの下にありまして、グリップにおろした指が、自然とシフトレバーに触れるようになってます。

だけど、デュアルコントロールレバーは、ブレーキレバーの上にシフトレバーがあります。これにはレバー操作をする上で、どうしても違和感を感じてしまうんですよ。

あくまで慣れの問題ですので、ごく個人的、主観的な問題ですね。

ハンドルが高すぎる

ハンドル高さ

これはぜんぜん大きな問題でありません。なぜならエスケープR3には、ハンドルの高さを調整する機能が用意されているからです。

なのでこれは、問題というより、調整箇所ですよ、というレベルの話です。

調整方法としては、こんなことが考えられそうです。

  • スペーサーとステムの位置を入れ替える。
  • ステムの上下を反転させる。
  • ステムそのものを他のステムに取り替える。

ステム交換以外はパーツの追加や交換なしにできるので、後日チャレンジしますね。

※後日ハンドルバーの高さを調整しました。

エスケープR3のハンドルバーの高さを変えるのは簡単

まとめ

というわけで今回は、エスケープR3をさまざまなシチュエーションでテスト走行して、気になるポイントの彫りおこしをレポートしました。

最後にまとめます。

要点まとめ

結論:ポテンシャルは高いが課題も多い
⇒素の状態では気になるところがある。
⇒改善や改修をすれば良くなる一方ですよ。

いろんなシチュエーヂョンでテスト走行
⇒ループ橋で必要なギアをチェック。
⇒ガタガタ道で悪路走破性をチェック。
⇒直線路で必要なギアとスピード感をチェック。

客観的に気になるところ
⇒ブレーキが効かない=ブレーキシューの問題。
⇒走りが重い=30Cの太いタイヤが原因かな。
⇒フロントトリプル不要。前は38Tだけで十分。

個人的に気になるところ
⇒サドルが合わない。十分柔らかいのにね。
⇒エルゴグリップ物足りない。ちょっと細い。
⇒デュアルコントロールレバーに違和感。
⇒ハンドル高すぎる。下げればいいだけ。

ようするに、

エスケープR3は素のままでは、いろいろ気になる点もあります。でも改修、改善すれば、どんどん良くなるに違いないです。一台で二度美味しいナイスな自転車ですよ。

ということです。

自転車の楽しみって大きく分けて二つあって、乗る楽しみと、カスタマイズする楽しみがそれ。どちらも楽しめるので、これからがワクワクです。